【Episode.1:大海から生簀(いけす)へ】
- 2025年12月30日
- 読了時間: 3分
これはレッドオーシャンで孤独に戦う1人のオーナーの物語。

大手媒体という、終わりのない家賃の支払い。
その絶望の中にいた私が、ある夜スマホの画面越しに出会ったのが「MEO」という言葉だった。
Googleマップで自分のお店がどう表示されるか。
そんな当たり前のことに、これまでの私は無頓着すぎたのかもしれない。
「MEO対策、か。これなら自分でも調べればできるんじゃないか?」
そこから、私の「夜な夜な研究」が始まった。
昼間は接客、夜はパソコンに向かう。
大手媒体の高い掲載費をどうにかして削りたい。
その一心で、Googleマップ集客の仕組みを泥臭く調べ上げた。
まずは写真を変え、お店の強みを「作った言葉」ではなく、自分の言葉で書き直していく。
地域の人たちがどんなキーワードで検索しているのか。
どんな悩みを抱えて、どのお店を選んでいるのか。
一つひとつの「対策」を積み上げていく作業は、まるで暗闇の中で手探りで道を作るような感覚だった。
そして、変化は突然訪れた。
「ネットで見て、良さそうだったので来ました」
初めて、大手媒体を通さずに新規の客が扉を開けたのだ。
それも、これまでのような「クーポン目当て」の客じゃない。
私の店のこだわりを理解し、このサービスを求めてやってきた、まさに「狙い通りのターゲット」だった。
彼らは帰り際、満足げにこう言ってくれた。
「ここ、本当にいいですね。口コミ書いておきます」
スマホに届く高評価の通知。
Googleマップ上での存在感が増していくのを肌で感じた。
大海原でむやみに網を投げるのではなく、自分の店を求めている人が集まる場所=「生簀(いけす)」に向けて、最短距離で針を落とす。
「これだ。この手応えこそが、私が求めていた集客だ」
だが、喜びと同時に新たな「重圧」が私にのしかかった。
せっかく頂いた温かい口コミ。それを無下にはできない。
営業が終わり、疲れ果てた体で一人ひとりに宛てて丁寧な返信を心がける。
「ありがとうございます」の一言では足りない。
あのお客さんの顔を思い浮かべながら、一文字ずつスマホを叩く。
一通返すのに10分、15分と時間は溶けていく。
「いい流れが来ている。ここで手を抜いたら、またあの地獄に戻ってしまう」強迫観念に近い思いで、私は自分の時間を削り続けていた。
ようやく、家賃地獄からの脱出の糸口が見えた気がした。
しかし。 この時の私は、まだ気づいていなかった。
新規が集まれば、すべてが解決するわけではないという残酷な事実に。
生簀に魚は集まった。
だが、その魚たちは、一度きりで私の網からすり抜けていってしまう。
「なぜ、あんなに喜んでくれたのに、もう一度来てくれないんだ?」
新たな壁にぶつかった物語は、Episode.2へと続く。

※この物語はフィクションですが、語られている『広告費を資産に変えるロジック』真実です。




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